企業の企業価値(バリュエーション)は実際にはどのように決まっているか by マーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)

日本でも2015年、過去最大規模でスタートアップ投資が行われてきました。さて、投資時の企業価値(バリュエーション)はどのように決まるのでしょうか?ブラウザMosaicとNetscapeを開発し23歳で株式公開(IPO)し、2009年からはVC「アンドリーセン・ホロウィッツ」を立ち上げてFacebook、Twitter、Instagram、Skype、Pinterest、Foursquare、Airbnb… と名だたるスタートアップに次々と投資し、成功させています。今日は、彼の9個の連続Tweetから企業の企業価値設定の現場を学びます。それでは、どうぞ。

あるべき論の企業価値の手順


因習的な企業価値の手順;
(手順1)会社の財務と将来キャッシュフローの分析
(手順2)正しい企業価値を計算する

実際の企業価値設定の現場


実際には企業価値設定の現場では何が起きているか;
(手順1)現在の市場価値を見る
(手順2)その市場価値が正しいことの理論と論法を(後付けで)組み立てる

設定された企業価値がロジックを呼び、ロジックが企業価値を作る、というスパイラル


この観点からすると、ジョージ ・ ソロスの再帰理論は確かに正しい。
英語版Wikipedia「Reflexivity (social theory)」
日本語Wikipedia「再帰理論」


判断指標が企業価値に影響し、その企業価値が判断指標に影響し、その判断指標が企業価値に影響し、その企業価値が判断指標に影響し…というのが無限に続く。


その循環の上部では、ポジティブな高い価格設定こそが無限に続く栄光の道を説明する理論を作っているのでネガティブな投資家や分析家はクビになる。


その循環の底部では、低い価格設定こそが恒久的な将来の失敗を説明する理論を作っており、ポジティブな投資家や分析家はクビになる。


したがって「すべてがバブルである」とか「バブルが必ず弾ける」といった理論がブームになるのは循環の底部が存在する証拠になる。


したがって、もし「すべての情報」に「すべての情報、理論、ノイズ、嘘っぱち」を代入するなら効率的市場仮説(※)は正しいということになる。
※注:特定の資産に関する入手可能な情報は、その資産価格にすべて反映されているという仮説。

外部のノイズに影響されずに合理的な企業価値・価格を設定出来るか


我々は「ソーシャルな」動物なので実際に群れの外に出るという選択をすることは残酷なほどに難しい。順応圧力が継続/強烈に存在している。


この有名なリサーチペーパーは一読の価値がある。
リンク

※注:1995年に書かれた「裁定の限界(The Limits of arbitrage)」という研究レポートで、行動ファイナンスの中核となる理論の1つだそうです。完全に合理的な投資家による裁定取引を妨げてしまう市場の摩擦が存在し、その摩擦が価格の歪みを生み出すという。


もう一つの必読な有名なリサーチペーパーは偉大なるフィッシャー・ブラックの「ノイズ」である。
リンク

※注:「人々は、情報よりもむしろノイズに基づいて行動している」というレポートで、ノイズによるトレードがあることで適正価格を知ることが出来たり、経済サイクルもこのようなノイズによって引き起こされているという。

Thanks to Marc Andreessen

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