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VC出資を受けたスタートアップの死体解剖〜Sonarの成功と凋落から学んだ事。


この記事はモバイルアプリスタートアップのSonarを立ち上げたBrett Martinが、数百万ダウンロードを稼ぎTechCrunch DisruptやAd:Tech Best Mobile Startupに選ばれ数百のメディアに取り上げられるなど一見大成功に見えた中で、失敗に終わったことを振り返った記事「Postmortem of a Venture-backed Startup」の翻訳記事です。凄く良かったのでご本人に直接翻訳記事をアップしていいかどうかお伺いし、以下のように快諾頂けましたので翻訳記事としてアップします。

==============以下、翻訳==============

知らない人たちのために説明すると、Sonar Media Inc. は世界をもっと親しみのある世界にするモバイルアプリを作るスタートアップだった。僕たちのモバイルアプリをスマートフォンにインストールしておくと友達が近くに来た時に知らせてくれるといったもので、“周辺ソーシャルネットワーク”という新しい流れに乗った会社の1つとして認識された。Sonarは世界で数百万ダウンロードされ、AppleやGoogleに100以上の国のストアでプロモーションしてもらい、TechCrunch DisruptやTech Best Mobile Startupなどのたくさんのイベントで賞を受賞し、200万ドル近くを有名エンジェル投資家や有名VCから資金調達し、New York Times、CNN、CNBC、TechCrunch、TIMEを含む300以上の媒体でSonarが掲載された

そしてそれでも、僕たちは失敗した。

僕たちは数多くの正しいこと、そして数多くの間違いをSonarで犯した。以下に、僕たちの学んだことの中で僕が最も共有したいリストをまとめる。

プロダクト/マーケットフィットを探す

人々が欲するものを作れ
—Paul Graham

ユーザーの声を聞く:ポジティブな失敗

僕たちはSonarをFacebook、Twitter、Foursquare連携していた。すぐにユーザーはLinkedin連携を求めるようになった。彼らは表向き、ビジネス上の仲間と会うためにアプリを使いたいと言っていた。

僕らは喜んでLinkedin連携を実装した。効果はあったかって?全然なかった。Linkedin連携をしてほしいなんて言っていたユーザーは実際のユーザーじゃなくて、むしろユーザーになりたかった(まだユーザーではない)人たちなんじゃなかったんじゃないかと思う。僕たちはノイズに囚われていた。

学んだこと:

「この機能があったらあなたの製品を使うのに。」という話を信じるのは危険だ。ユーザーは自分がほしいものを予想するけれども、起業家のユーザーに対しての予測と同様、だいたいそれは間違っている。

B2Bサービスの場合は顧客の要望に対してお金を払わせることで検証を行うべきだ。メディアやソーシャルネットワークサービスの場合はデータ解析だけに賭け、実際のユーザーの行動を探して、観察して、そして実装するべきだ。

ユーザーの声を聞く:ネガティブな失敗

最もリクエストが多かった機能が「Foursquareのようなマップ」を僕たちのチェックインにつけることだった。僕たちはその代わりに「@Sonar」というタグをシェアされた投稿に追加していた。僕たちはマップ用のデザインを持っていたけれども、実際には実装しなかった。「周辺ソーシャルネットワーク」の機能を実装するので手一杯だったんだ!

失敗だった。ユーザーは @Sonar のブランドがシェアのポストに挿入されてしまうのが嫌でSonarからのシェアをやめてしまった。そもそも、彼らの友達がSonarからのアップデートで注意を引きつけることができなくなった。Facebookがそれに気づき、僕たちのアプリからのシェア投稿表示を隠し始めた。実際のユーザーの行動を見て最適化する代わりに、我々は会議室で無数の無駄な代替手段のための討論を行っていた。

学んだこと:

あなたは〜のSteve Jobsにはなれないだろう。
既存ユーザーの行動(たとえばチェックイン)の不和を解消することは、空の上にビルを建てる(たとえばAPIを作るべきというアイデア)よりも投資対効果が高い。現状のプロダクトの全ての部分をやりきって、極大値を見つけよう(やり切れることはすべてやろう)、新しいものを作るより前に!

グロース vs エンゲージメント

僕たちはこの2つのどちらが重要か、ということに関してたくさんの賢人から正反対のアドバイスをもらい、エンゲージメントにフォーカスし、重要度の大きい順に改善をした。改善は、誰の気にも止まらなかった。

学んだこと:

ソーシャルネットワークを作るなら、重要なのはグロースだけだ。以上おわり。エンゲージメントは素晴らしいことだが、トップラインの数字がある閾値に達していなければ資金調達のミーティングに行くことすらできない。(シードなのかシリーズAなのか売却交渉なのかによっても違うけれど)

もっと費やす時間を減らすべきだったこと

フォーカスするってのは、1000の良いアイデアに対してNOと言うことだ。
— Steve Jobs

イベント

ユーザー獲得戦略の間違いに気づいたのは、小さなミートアップでピッチをして家に戻っている途中だった。それは火曜日の夜11時で、疲れ切っていて家に帰ってもまだ仕事がたくさんある状態だった。しかしそれで僕がいたのは、クソったれなバーで、それは自分のSonarアプリで誰かに身バレしてそいつのアプリをインストールしてくれっていう奴が次々やってくるのを避けるためだった。

学んだこと:

イベントに出るのはリサーチのためだったり、ビジネスディベロップメントのためだったり、採用のためだ。1000万ダウンロードを目指すためにやるべきではない。

ブランド、代理店

MTV、Kraft、Digitasのような会社が僕たちにアプローチしてくるとき、僕たちは彼らが何を求めているかわからなかった。それがわかるまでに最低でも10個のミーティングをし、彼らの数百万ユーザーを銀の皿に乗せて持ってきてくれる代わりに、Sonarのユーザーにアクセスできる方法を探っていたんだ!

学んだこと:

礼儀正しくするべきだが、ブランドや代理店の「ご挨拶」に関しては自社のユーザー基盤が構築できるまでは延期するべきだ。ユーザー基盤があれば、彼らの方からやってくる。(お金を払う)

必然的結果: 投資家はこれを知っているので、あなたが「XYZブランドと○○なディールを結んでユーザーを獲得して売り上げも上がる予定なんです!」と言うとバカに聞こえる(つまり、投資しない。)。

サイドプロジェクト

2011冬、僕たちはWired magazineのTimes Squareのポップアップストアでパーソナライズされた製品のオススメをすることで僕たちのテクノロジーのデモを行うというパートナーシップを締結した。

この「小さなサイドプロジェクト」は開発に6週間かかったのに、Wiredのクールな人たちと話せたこと以外何の利益ももたらさなかった。

学んだこと:

あなたには 20% time(Googleなどが提唱するサイドプロジェクト奨励プログラム)は無い。 あなたのトッププライオリティーを3つに絞って、2番目と3番目を捨てろ

競合

2012年のSXSW(訳者注:オースティンである音楽とITの祭典)に行こうとしている時期に、Insider Mediaが「HighlightがSonarの王位継承者だ」とすっぱ抜いた。そして僕らと利害関係のある投資家たちが僕たちをこきおろし、僕の自信は風前の灯だった。僕たちは機能を比較してロードマップを書き直したが、後塵を拝していた。僕は一番勇敢な顔をして見せていたが、根性は朽ち果てようとしていた。僕は今でもオースティンへの飛行機の中で「クソ、僕たちのものだったのに、僕らは失おうとしている。」と思ったことを覚えている。

なんてことだろう! Highlightはまだどこにも行っていないのに、僕たちは確実に何トンものエネルギーを浪費して、「外部脅威に反応して」スリープ状態になってしまった。僕たちは僕たちのビジネスをワークさせるために何をするべきかだけを考えるべきだったのに!

学んだこと:

車輪がぐらつかないようにしよう。スタートアップが他のスタートアップを殺す方法は1つだけ、他のスタートアップの頭の中に入り込んで崖から突き落とすことだ。

もし僕のことを信じたくなければ、この証明を見て欲しい。
あなたの競合はあなたのロードマップ上の機能のうちの多くをリリースしている?
Yes? あなたはどの顧客がその機能を欲しているかわかる?
No? 素晴らしい、競合もわかっていない。ユーザーが何を欲しているかを発見することに戻ろう!
*ヒント: もし発見できていたら、すでに良い数字が出ているはずだ。

会社の売却

「周辺ソーシャルネットワーキング」の市場が2012年春に加熱し始めて、Sonarの支配株主は“資産を売りさばく時期だ”と決定した。彼らは僕たちSonarをビッグデータソリューションを探しているグルーポン系サービスとくっつけた。僕たちはアプリの改善をストップし、リソースの全てを大企業の問題を解決するテクノロジーのパッケージングに捧げた。支出を減らしてだんだん細っていくステージを引き延ばす代わりに、僕たちは雇用を増やしインフラを増強した。

グルーポンビジネスのマーケットは内破してしまったけれども、僕たちは9ヶ月近くで彼らと数十のミーティングをし、もう倒産するような会社にSonarを「売って」数十万ドルを売り上げた。

学んだこと:

会社は売れるんじゃない、買われるんだ。買われるための一番良い方法は価値があるものを作ることだ。それは、あなたが会社を売ろうとしているときには難しいことだ。

不整列

僕がローンチを手伝ったインキュベーターの中で僕たちはSonarを作った。完全にクリアにしておくと、そのインキュベーターはSonarが離陸するのに助けになったし、相当長い間助け続けてくれた。でも残念ながら、インキュベーターたちとそのオペレーターたちと仕事をするのにはたくさんの構造的な問題があった。いくつかを下記に書こう。

責任とコントロールの分離はあいまいさ、混乱、緊張、そしてフラストレーションを生み出した。たとえば雇用契約書のネゴシエーションなどの日々の決断から会社を売るなどの会社の定義まで、足並みをそろえることは大変だった。 時々、言い争っていた。

インキュベーターモデルのもっとも有害な面は、 妨害の可能性があることではなく、松葉杖としての腕前そのものなのかもしれない。他の誰かが僕が完全にコントロール出来ていない会社を立ち上げ、運営してくれるっていうことで、後ろ指を指されるのは当たり前だ。

僕としては、もっとも悲劇的な例は、僕たちの会社が再生したかもしれない資金調達の交渉テーブルにインキュベーターが座ったことだった。1ヶ月近くも対立した後、投資してくれそうな投資家たちから「48時間やるから、投資を受け取ることにするか、お前が会社を去るかどちらかにしろ」と言われた。会社を生き残らせる望みのために、最後通牒を行った。インキュベーターと今後ずっと一緒にやっていくか、僕が去るか。誰も微動だにせず、投資家のタームシートは消えて無くなった。僕は僕の子供のような会社を彼らが潰したことを非難しながら約束通り辞任した。

学んだこと:

John Burroughsは「人間はたくさん失敗する、しかし自分でない誰かを非難しはじめるまでは失敗ではない」と言った。疫病のような悪い関係を避けろ、でも君が自分が難しいパートナーシップ関係にあると思うならば、泣き喚いてエネルギーを浪費するなんてことはするな。ちゃんと機能するようにするか、素早く次に行け。

全ては、人だ。

“我々が人々に彼らが考えてやっていることが重要だと信じさせることができた時、人々の競争力の真髄が解放される。 – そして、彼らがそれをやっている間だけは彼らのやり方から抜け出すことができる”
— Jack Welch

実践的なチームビルディングをしろ

僕たちは最初の採用候補者である、グーグル出身の素晴らしい候補者を採用できなかった。僕たちが彼の契約書についてあれこれ議論している間に他の会社の仕事を選んでしまった。 そのかわりに僕たちは別の、実績の少ないエンジニアをスポットで採用した。彼が完全にカルチャー的にフィットしなかった点では僕たちは袂を分かつまでに時間がかかりすぎたけれど、最初のバージョンを出すのには手助けになった。

学んだこと:

もしあなたがたくさんの選択オプションをもっている経験値のある起業家だったら、あらゆる意味で、合意を渋ろう。ほとんどの初心者起業家にとっては、(選択オプションがないのだから)リスクなんて考える必要はない。

最初の最初は、できる人はあなたの仕事をしたいと思わないだろう。あなた自身のような、荒削りのダイヤモンドを探すことであなたの力を証明しよう。彼らの助けによってあなたは組織のレベルを上げ、そして初めて大きい魚(レベルの高い仲間)に参加してもらうことができる。

会社のカルチャーはあなたの共同創業者になる

僕たちはSonarにおいて素晴らしいチームを作り上げた。全員がとても賢く、情熱があり、献身的でハードワーカーだった。僕たちはマイルストーン達成ごとにテキーラでお祝いをした。僕たちはビーチでブラブラした。辛い時期でさえ、みんなが可能な限り遠くへ押して、幾分進んだ。僕はSonarの全員が大好きだったし、他のみんなもそう思っているという自信がある。

僕たちのカルチャーは熟考したうえの選択というよりは、自然に生まれた財産だと言われる。もちろんブレインストーミングのセッションもやったし、目標を目立つように貼ったりしたけれど、僕たちの会社のカルチャーのほとんどは僕たちの周りにいた人たちのカルチャーから吸収した。

学んだこと:

会社のカルチャーを、君が会社にいない時にいてくれる共同創業者だと考えよう。君は決定力があり、コミュニケーション力があり、敬意がある。それでも、カルチャーあれば、あなたが部屋にいない時にみんながどうやって行動したらいいかを考えるのを助けてくれる。だから、カルチャーを明瞭で権威がある声にしよう。

ポイントは、ふわっとした言葉を避けるということだ。創業者を完全に鏡のように映すので、ベストなのはおそらく、自分が誰なのかをクリアにしようと努力することになる。それを書き出してチームにシェアしよう。もしあなたが正直だったなら、あなたのすべての行動はあなたの価値を補強する。

前へ。

“とても小さい相手と戦って我々が勝っても、その勝利は我々を小さくする。我々が欲するべきは敗北であり、より素晴らしい相手に継続して負け続けることなのだ。”
— Rainer Maria Rilke via Tim O’Reilly

スタートアップは資金が尽きた時に死ぬのではなく、創業者が手放した時に死ぬ。僕がSonarにおいてその結論になった時完全にSonarと決別して、Sonarが自分たちが投資してきたすべてのものであるにもかかわらず、元Sonarの全員が新しいチャンスの前に立っていた。受け入れるのは難しいが、勝負に勝つために試合に負けたことを認めなければいけない時がある。

僕は汗とお金と愛、そして3年もの労働でもちょっとした電話でも時間をSonarにつぎ込んでくれた何百もの人にお礼を言いたい。特にSonarの素晴らしいチーム、誠実なアドバイザーと投資家のみなさん、そしてサポートしてくれた家族や友達に感謝している。そして最後に、Sonarに1勝負させてくれた何百万人のユーザーのみんなに声を大きくして感謝を叫びたい。あなたがSonarを使って彼氏に会えたというストーリーを聞けば、Sonarをやった価値があったと思える。

僕たちがSonarを始めたのは、みんなが素晴らしい人になるポテンシャルを秘めていてテクノロジーがそのポテンシャルをアンロックする(解放する)という信念からだった。僕のSonarでの経験だけが僕の確信を強めてくれた。僕が学んだことのすべてで「次」を生み出すのが待ちきれない。

一緒に頑張ろう!

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