update 2015/08/10 : Circleup, Wefunderを追加。
「購入型」「寄付型」「融資型」などのクラウドファンディングは世界、そして日本でも活況であることはスタートアップに関わる人にとってもはや説明不要なほど有名な話ですが、これに加えて「投資型」のクラウドファンディング・プラットフォームが生まれています。
2012年にアメリカで「JOBS ACT(JOBS法、雇用創出法)」が成立したことによりクラウドファンディングが合法になりました。
日本でも金融商品取引法などの改正案を閣議決定され、今後株式型のクラウドファンディングが生まれやすくなると思われます。(個人投資家の保護のため「1人あたり上限50万円」などの縛りが設定される予定で、現状だと日本ではかなり限定したカタチになりそうですが。)
世界でもどんどん「株式型」のクラウドファンディングプラットフォームが生まれており、起業/スタートアップで常に必要になる「お金」について、エンジェル、ベンチャー・キャピタル以外の資金調達の選択肢の1つになっていくでしょう。
というわけで世界の「投資型」クラウドファンディング・プラットフォームをまとめてみました。(例によって抜けもれ等ありましたら @yuichikory をいれてつぶやいていただければ幸いです。)では、どうぞ。
[アメリカ] Circleup (2015/8/10追記)
USV、Canaan Partners、Google Ventures、Maveron、Rose Park Advisorsから投資を受けるCircleup。株式、Convertible Noteのいずれかで投資をすることができる。半分以上(調査時点178案件中103件)がシードマネー。アプリやWEBサイトでなく、アパレル・食品・ワイナリーなど”モノ”に関わる案件がほとんど。
Circleup
[アメリカ] Wefunder (2015/8/10追記)
ZENEFITSなどを輩出(!)したクラウドファンディングプラットフォーム。ZENEFITSは2013年4月に9億円のバリュエーションで投資を募っていますが、企業価値が4500億になってますのでこのプラットフォーム上で投資した人は約500倍のリターンを得ていることに・・・ガクブルです。
Wefunder
[オーストラリア] ASSOB
世界で一番歴史があるオーストラリアの投資型クラウドファンディング。すでに8年間運用しており、2014年3月現在のべ130億円のクラウドファンディング投資を成功させています。
彼らの強みは1)内部に持つリーガルチェック体制、 entity and offering compliance. 2) 投資プロセス全体をASSOBパートナーとASSOBで受け持つ運用体制 3) 資金調達スタートアップにとって資金調達プロセスを簡単にしてあげるテンプレート の3つとのこと。
また、彼らはOfferboard.comにシステムをライセンス提供する事でアメリカでの投資プラットフォーム競争に参入している。(2014年4月にローンチ予定とのこと)
参考:One country has been doing equity crowdfunding for 8 years. Here’s what they learned(VentureBeat)
おまけ:ASSOB と Offerboard に関するCrowdFundBeatによるインタビュー
[アメリカ] CrowdFunder
1000ドルから投資可能。LinkedinやFacebookでのログインが可能(個人認証のため利用、重要)。1社で720万ドル(7億円!!)の募集も成立しており、初期であれば十分な出資を賄える。株式もしくはConvertible Noteでの出資者募集が可能。(もちろんスタートアップ側が選択する。)
株主がスタートアップを選ぶ基準は下記4点
・Why We Started This Company(何故この会社を始めたか)
・What Sets Us Apart(競合優位性)
・Our Keys To Success(成功のためのポイント)
・Our Accomplishments(達成状況)
そして、下記3点だ。
・Existing Investors(既存株主)
・Leadership Team(経営陣)、Team(チームメンバー)
・Traction(トラックレコード、過去の実績)
・Follower(他に誰がこの会社をフォローしているか)
また、Youtubeの動画やSlideShareのスライドを貼付ける事も出来る。
驚くのは、非常に少ない情報にも関わらず数億レベルの投資が集まっているということだ。
[アメリカ] EquityNet
Quantumが500万ドル(約5億円)の出資を受けるなど大規模な投資が多く成立するEquityNet。詳しくは下記動画を見て頂ければと思うが、スタートアップデータをテンプレート化、データ化することで投資家がスタートアップ検索をフィルタリングすることを可能にし、投資家の時間を節約することでマッチング率を上げているようだ。
[アメリカ] FUNDABLE
もともと購入型のクラウドファンディング形式もとっており、KickStarterなどのサイトにUIが良く似ている(かなり自由度がある)。こちらも認証された投資家にならないと詳しい内容が見れない。読み物コンテンツでは「投資型のクラウドファンディングとは?」というコンテンツなどもあり外部から投資を受けること、バリュエーションとは?といった内容の啓蒙も行っている(勘違いして募集したらエラい事になりますからね。)
総額8700万ドル(約87億円)が投資されている。
[イギリス] CrowdCube
総額で2000万ポンド(約34億円)が投資されているイギリス最大級のプラットフォーム。
[イギリス] Seedrs
最初にFSA認可を受けたクラウドファンディングプラットフォーム。イギリス出身でヨーロッパを中心に攻めるSeedrs。Seedrs自身が75万ポンド(1億2600万円)を調達した他、数十万ポンドクラスの案件が数多く成立している。
[アメリカ] Rock The Post
総額2300万ドル(約23億円)が投資されている。例えば共同創業者を募るためのサイトCoFoundersLabは68万ドル(6800万円)を調達した。
[スウェーデン] FundedByMe
3.3万人の投資家が登録しており、535万ユーロ(約6億円)が投資されている。28名でヨーロッパ中心に8カ国(シンガポールも含む)を担当しており、世界初のクロスボーダーな投資プラットフォームを目指している。
[ドイツ] COMPANIST
2012年からスタートしているドイツ出身のクラウドファンディング・プラットフォーム。今迄に480万ユーロ(約5億円)が投資されている。
[オランダ] symbid
のべ320万ユーロ(約3.5億円)が投資され、2万人以上の投資家が登録しているsymbid。
[イギリス] BANK TO THE FUTURE
総額120万ポンド(約2億円)が投資され、6000人の投資家が登録している。
[イギリス] SeedUps
イギリス、アイルランド、アメリカ、カナダに展開するSeedUps。数万ポンド〜数十万ポンドの案件。
[アメリカ] EarlyShares
「Whom We Serve(顧客ターゲットについて)」、「Our Potential(ポテンシャル)」などがCrowdFunderよりも多い。Traction、Investment Details(投資詳細)、Due Diligence(実態調査)、Q&Aなどは的確な投資家として認証されないと見る事が出来ない。
公開されている投資成立案件は少ないが、25万ドル(約2500万円)の投資が行われた案件などがある。
[アメリカ] Startup Valley
まだプレローンチ状態のサイト。フォローのみ可能。
まとめ
世界の投資型クラウドファンディングをまとめましたが、たくさんのサイトが出て来ている一方で大きく投資を集めているプラットフォームが決まって来ているようにも見えます。(アメリカとヨーロッパでまた事情は異なると思いますが。)
クラウドファンディングで投資を受けたスタートアップが大きくなるとまた状況も変わってくると思いますし法律もどんどん改変されていくと思いますし「投資型クラウドファンディング」から目が離せませんね。